
20坪の土地に建つ小さな家です。 建物のコンセプトは常に家族の気配を感じられる家です。 地下の駐車場は完全に独立していて、その上に木造2階建をスキップフロアで乗せています。敷地が狭く、将来周りに建物が建っても日当たりを確保できるように、ダイニングキッチンなどは2階にあります。あまり間仕切り壁を付けずにワンルームのようにし、家族がどこにいても気配を感じ取れるようにしています。また、スキップフロアにすることでワンルームな状態も適度に仕切られるように感じられます。

玄関を兼ねている土間です。この建物の中で、1番無駄で、1番有効な空間です。部屋数も少なく、部屋の大きさもすべて小さいのに、ここだけはこの規模の建物の玄関としては非常に広くなってます。簡単な打ち合わせをしたり、木工をしたりできる、インテリアとエクステリアの中間的な空間です。普段はかさをを干したりもしています。自転車を入れていた時期もありました。

2006年当時はこんな感じです。 また最初に戻ったような感じですね。

そういえば事務所になっていた時期もありましたね。

土間にある地窓です。ここは庭をながめるためだけの窓です。その向こうに見える庭には、砂利を敷き詰め、トクサという和風な感じの植物を植えてあります。春には、ツクシのようにニョキニョキと砂利のあいだから伸びてきました

土間のスイッチプレートです。普通は部屋の名前を入れるためのスイッチなのですが、アイコンをデザインして入れてみました。なんのマークか分かりますか? 上から順に玄関(土間)・庭・駐車場です。駐車場はすぐに思いついたのですが、他の2つが・・・一応クツと植木鉢の絵のつもりですけど・・・分かりますかね?

廊下と階段です。階段の下は風も光も通るように何もありません。このおかげで、ここは家の真ん中でありながらも暗い空間になりませんでした。また、段板の大きさは割と大きめで、1段の高さも低めにしてあります。階段は沢山あるけど、バリアフリー?な環境にしてあります。


その後2006年には、こんな手すりをつけました。

2階から階段を下りてくる所です。正面の照明などはセンサー式になっていて人が通ると点灯するようになっています。しかも明るいときにはちゃんと反応しないようになっている、省エネなスイッチになっています。踊り場の左側が事務所として使用している部屋です。ここから出てくるときもセンサーが反応するように位置を考えてあります。

階段を下りて玄関に行く間の廊下です。ここの廊下の天井の高さは2メートル5センチという、すぐに手の届く高さです。少し暗くなる洞窟みたいなところです。この廊下の脇にはトイレ・納戸・洗面所とドアが並んでいます。

2階のダイニングからキッチンを見たところです。キッチンは吊戸棚を付けずにシンクとガスレンジを前後に平行に並べてあります。部屋自体が広くないので横1列にすることも難しいこともあり、前後に並べてみたわけですが、これが意外と使いやすい!シンクで野菜などを洗ってその横で切って、後ろに振り向いて調理して、その左に皿を置いて盛りつける。ということをほとんど歩かなくてできてしまう横着設計です。ちなみにシンクの下と調理台の下の扉もガスレンジから取りやすいようになっています。

2階に上がってくるとこの部屋に出てきます。天井が屋根なりに傾斜していて、天井の高さは2メートル30センチから3メートルです。部屋も狭いので、すごく天井が高く感じます。このテーブルの置いてあるところは床面積としては3畳ほどしかなく、4人掛けのテーブルがやっと入っています。しかし、これがまた、妙に落ち着いちゃったりします。お気に入りのカフェの奥の席のような感覚ですかね。

キッチンからダイニングの方を見た所です。料理をしているときはこんな風景を見ています。右上の方に上がっていくと和室があります。ダイニングの向こうの窓はちょうど外の木がきれいなところをねらって付けました。緑の多いのどかな所だということがよく分かるでしょう。

和室の前の廊下の上から見た所です。NewHOUSEの表紙にも使われた、ウチでは1番有名なアングルです。玄関(土間)の上が吹き抜けになっているのですが、冬はこのおかげで寒さが上にやって来ます。空気の流れを逆手にとって、オイルヒーターを土間に置くことで家全体が暖まります。外から誰が来たかすぐに分かります。寝るときに鍵閉めたっけ?と思ったときに確認できるのも良かったりして。

和室の前の廊下です。これのおかげで、ダイニングが狭く感じないのでしょう。床板は唐松の無垢材をワックスで仕上げました。ここの奥には床の間?があり、ツェツェのCubist lightというランプを吊るしてあります。もともと赤ちゃんのいる部屋用の明かりらしい。この床の間の床は、ゴザをベニヤ板にくっつけて作った「なんちゃって畳」です。ここはとても風通しの良いところで、置いてあるロッキングチェアで雑誌など読んで揺られています。

キッチンとダイニングの上には天窓がついています。これは棒で引っかけて回転させて開けることができます。やはり天窓は明るくていいですね。昼間は雨の日でも電気無しで暮らせます。しかし、いいことばかりでもなく、戦後最大の台風の時に親指程度の水滴がカウンターについてました。屋根の勾配が緩いということもありますが、台風の風で雨が上がってきて入ってしまうところがあるんですね。開閉式の天窓を付けるには、このくらいの覚悟も必要なのですね。

和室です。設計者的な感覚では、洋室とか和室とか区別していないので、畳があって障子のある部屋としか思っていません。しかし、分かりやすいので和室と呼んでいます。ここは1日中日当たりのよい部屋で、風通しもよく、まさにお昼寝むきの部屋です。通常引き違いの窓に障子を入れると、片側しか開かなくて暗いので、片側に引き込めるようになっています。また、障子はガラスの無い雪見障子になっていて、下の部分をあげると視線を下に集中するのと同時に風の量をコントロールすることもできます。

和室の上にはこのような3畳程度のロフトがついています。ここは子供達には大人気で、みんなここではしゃいでいます。天井の高さは1メートル40センチしかないので(法律でこの高さまではロフトと認められ、床面積に算入しなくて良いのです)大人は座るのみですね。ここの床も予算がなく、床の間と同じ「なんちゃって畳」です。窓はハンドルを回転すると上に開いていきます。ハイジの山小屋の窓のようなイメージです。

ロフトから和室を見下ろしたところです。和室は5.25畳しかないのですが、天井の高さと、ロフトと、廊下のおかげで狭苦しくは感じないです。ぶら下がっている照明は、乳白ガラスに裸電球と、貧乏臭さを演出しています。さらに、ちゃぶ台もありますけど・・

これも土間のスイッチと同じくアイコンを付けてみました。上から順にお風呂・洗面所・換気扇です。こちらも、お風呂と換気扇はすぐに思いついたのですが、洗面所がね・・・一応歯ブラシと歯磨き粉(チューブ)のつもりですが・・・洗面台にしようかとも思ったんですけどね。

右の窓は出窓になっていて出てる部分の上もガラスになってます。入ったときに出窓の方に顔が来るので広々としたお風呂に感じます。床のタイルは断熱性のあるタイルで、普通のタイルに比べるとあまり冷たくありません。