無くなっていくものと残っていくもの

昨日、近日解体予定になっている同潤会アパートを見てきました。

上野の駅から10分ほど歩いたところにある緑の多い敷地。そこに同潤会アパートが建っています。

門構えから、アパートの入り口までのアプローチ。門柱のテクスチャーや表札がなんともステキ。やはり素材感が良いですね。最近のマンションなどで、ここまで古くなって、良い雰囲気を出すことができるでしょうか?

ほとんどの窓がアルミサッシに変わっていましたが、数ヶ所初期のころを思わせる木製?スチール?なサッシが残っていました。こういった風合いを残しながら性能を維持できればアルミサッシに換えることもなかったんでしょうね。

外壁や塀のテクスチャーは風化して洗い出しになったのか、荒い感じの良いテクスチャーになってます。

パーツやテクスチャーも良いのですが、それよりもコミュニティを意識したプランニングがステキです。外から眺めていると井戸や共同の物干しが見えてきます。共同の洗濯場もあったりして、みんなここでおしゃべりを楽しみながら洗濯してたんだろうな〜とにぎわっていた時の庭を想像しちゃいました。

ここには、この後、井戸や雰囲気を残しながら14階建てのマンションが建つというお話ですが、ぜひそういったコミュニティを考慮したプランにしてほしいものです。

同潤会を見たあとは、日暮里まで移動して、HAGISOへ行きました。ここは、元々アパートだったところを改装して、ギャラリーやcaféなどの複合施設にしたものです。

構造体だけ残して、小屋裏をむき出しのままにすっきり仕上ています。

ギャラリーの隣はcaféになっていました。ラフな仕上と、程よい広さが心地よいです。

昨日は、古い建物を見ましたが一方は解体されていくもので、もう一方は再生されたものでした。どちらの選択も間違ってはいないと思いますが、やはり設計者としては、可能な限り元のものを活かしたまま安全を確保して、新しい価値を見いだしていきたいものですね。